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風鈴の音を聞くだけで涼しくなるって本当?日本人だけの現象は古くからの風習に由来!

  • YOSHINOBU NISHIKAWA
  • 2023年7月7日
  • 読了時間: 4分



こんにちは! ニコnewsです。


日本の夏の風物詩のひとつ「風鈴」。

風に揺れたときに鳴る澄んだ音は、いかにも涼しげで風流なものですよね。


ところが、風鈴の音を聞いて涼しく感じるのは、日本人だけなのだとか。

その理由は、昔からの風習と気候、そして脳の仕組みが関係しているようです。



風鈴の音で涼しく感じる日本人



風に揺れる風鈴の音を聞くと、涼しく感じるような気がしませんか?

もちろん、風鈴が鳴ったからといって気温が下がるわけではありません。


ところが「風鈴が鳴ると涼しく感じる」というこの現象、実は風を感じていなくても、音を聞くだけで本当に体感温度が少し下がることが、実験により明らかになっています。


「風鈴が鳴った。ということは風が吹いた。ならば涼しいはずだ」、こんなふうに脳が錯覚を起こすからなのだそう。


なお、この現象が起きるのは、夏に風鈴を吊るす習慣がある日本人だけ。

澄んだ風鈴の音を心地よく感じるのは外国人も同じなのですが、リラックス効果で血行が良くなり、むしろ体感温度は上がるのだそうです。



風鈴はもともと占いの道具



現在よく目にする風鈴は、中国から伝わった風鐸(ふうたく)に由来します。風の向きや音の鳴り方によって物事の吉兆を占うもので、伝わったのは奈良時代から平安時代にかけて。

青銅製のため、音はやや鈍くて重く、私たちがイメージする「涼しげな音」とはかなり異なります。


日本では、平安時代あたりから「魔除け」や「疫病払い」として軒下などに吊されるようになりました。風鈴という名前が使われるようになったのもこの頃です。


夏に飾るようになったのは、気温や湿度が高くて疫病が発生しやすい時期だから。風鈴の音の聞こえる範囲で、邪気が払われると考えられていたそうです。



主な風鈴の素材

いちばん歴史が古い金属製



中国から伝わった風鐸は青銅製で、日本でも初めは青銅製のものが使われていました。

その後、鉄や鋳物でも作られるようになり、南部風鈴や小田原風鈴などが代表的です。


鉄製風鈴のリーンと高く澄んだ音は、余韻も長いのが特徴。岩手県奥州市にある水沢駅の南部風鈴は、環境省が選定した「残したい日本の音風景百選」にも選ばれています。



次に登場したのが磁器製



鎌倉時代には、陶磁器製のものも作られるようになりました。


同じ焼き物でも、風鈴に向いているのは陶器より磁器(伊万里焼や有田焼など)。


粘土からできている陶器には小さな穴がたくさんあいていて(多孔質)密度が低いため、たたいたときにあまり響かず、鈍い音になります。ただし、ひとことで陶器といっても素材や焼き方はさまざまなので、陶器製で高めの音が出る風鈴もあります。


一方、細かい石の粉を使って焼き上げる磁器は締まっていて穴が少なく、ガラスに近い状態。そのため、たたいたときに高く響く音が出るのが特徴です。



今ではいちばん一般的なガラス製



ガラス自体は、日本でも弥生時代から存在しています。ただし、器などの実用品ではなく、まが玉のような祈りの象徴や宝物として使われていました。

江戸時代以前の日本のガラスは、実用品として使うにはもろかったため、陶磁器の文化の方が発達していったのです。


その後、江戸時代に西洋のガラスくずが輸入されるようになり、日本でもガラス文化が活発化。その中で風鈴も作られるようになりました。とは言っても、当時のガラスはまだまだ高価で、庶民の手に届くようになったのは江戸時代末期から明治時代です。



なお、長らく「魔除け」「厄払い」として使われてきた風鈴が「夏の風物詩」として広まったのは昭和の戦後。長い歴史の中では、かなり最近のことです。

近年の猛暑では、風が吹いても熱風で涼しくないときもありますが、脳が勘違いをしてくれる風鈴の音を利用して、少しでも涼しく感じる工夫をしてみるのも楽しいかもしれません。



本記事参考サイト






ニコ株式会社 代表 西川



ライター 三葉紗代


 
 
 

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