運動会を秋ではなく春にする学校が増えた理由は、子どもたちのため?
- YOSHINOBU NISHIKAWA
- 2023年5月15日
- 読了時間: 4分

こんにちは! ニコnewsです。
運動会といえば「秋」のイメージがありますが、特に2000年代に入ってからは「春」におこなう学校もかなり増えました。
自分が子どものころは秋に運動会をしていたのに、お子さんの学校では、進級間もないころの開催で「こんな時期に?」と驚いている親御さんもいると思います。
そもそも、なぜ運動会は秋の開催が主流だったのでしょうか。
そしてなぜ近年では「秋より春」を選ぶ学校が増えているのでしょうか。
運動会が秋に開催される理由

運動会という行事がおこなわれるようになった明治時代初頭は、地域や学校によって開催時期は違っていました。
その後、秋の開催が主流になっていった理由のひとつは、農作業が関係していると言われています。昔の農家では、子どもも貴重な戦力。収穫が終わるまでは、学校行事に参加するのが難しかったのです。
地域ぐるみで子どもたちを見守っていた時代、収穫が終わった後に開催される運動会は、子どもたちだけではなく、大人たちにとっても楽しみなイベントのひとつだったかもしれません。
また、現在は違うと知りつつも、未だに10月10日が「体育の日」というイメージを持つ大人も少なくないでしょう。この日は、1964年の東京オリンピック開幕日。「比較的天候が安定していて雨の少ない日」との実証データを基に選ばれました。時代はすでに昭和でしたが、この時期が運動会に適しているとの認識が、一般に浸透したきっかけでもありました。
ちなみに「体育の日」が10月の第二日曜になったのは2000年から。そして「体育の日」という名前が「スポーツの日」に変更されたのは2020年です。
運動会を春にする学校が増えたのは気候の影響

ではなぜ、気候的に適していたはずの10月ではなく、春(特に5月)に開催する学校が増えているのでしょうか。
その大きな理由のひとつとして挙げられるのが、地球温暖化。昔に比べて気温が上がっている現代は、熱中症リスクも上がっています。特に、体が未発達の子どもたちにとっては、大人よりも深刻な問題。
「10月であればそこまで暑くないのでは?」と思われるかもしれません。しかし、10月に運動会を開催するとなると、練習を始めるのは9月。まだまだ暑く、屋外での体育活動に注意が必要な時期です。自身が子どもだったころの9月とは明らかに気候が違うことを、親世代も感じているでしょう。
しかし5月の開催だと、練習開始は4月。練習も本番も、比較的過ごしやすい時期です。
また、近年では10月になっても台風や豪雨が心配なのに対し、春は比較的安定しています。
気温や湿度、天候において、リスクが少ないのは春だといえるでしょう。
秋の行事を分散させるため

特に中学や高校になると、秋には文化祭や合唱コンクールなどがあります。入念な準備期間が必要で、クラスメートとの連携や団結力も必要不可欠。そのため新学期が始まってすぐの時期に開催するのは不向きなイベントで、やはり秋が最適といえます。
また、学年によっては修学旅行に受験勉強の追い込みなど、いろいろ忙しくなる時期。多くのイベントを秋に詰め込むのは、子どもたちにも先生たちにも、大きな負担となります。
運動会も事前の準備は必要ですが、練習をしながら新しいクラスメートとの交流を深めることもできます。そして気候も屋外の活動に向いている。となれば、数ある学校行事の中で「運動会」を秋から春に変更するのは、むしろメリットが多いのかもしれません。

時代が変わっても、子どもたちの健やかな成長が大人の願いであることに違いはありません。地域交流が希薄になってしまった現代、運動会は、たくさんの子どもたちの元気な姿を見られる貴重な機会です。
ここ3年は、コロナの影響で運動会が中止になったり、縮小されたりしていましたが、今年は規制を解く学校も多いでしょう。久しぶりに全学年が一緒に集まり、見に来る大人も増え、賑やかな運動会となりそうですね。
本記事参考サイト
ニコ株式会社 代表 西川
ライター 三葉紗代
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